そろそろ北見行きの列車がくるので反対側のホームに移動して到着を待ちます。すると後ろの方から聞き慣れない警笛が鳴り闇の中からライトが近づいてきました。この時刻に列車は来ないはず。正体はラッセルカーでした。積雪が増えてきたので出動したのでしょうか。
再び気動車を待ちますが、定時を過ぎてもやって来る気配がありません。そのうちラッセルカーの方から声が聞こえました。振り向くと乗務員の方が顔を出していて
『列車は遅れているからこっちに入って待っていればいいよ』
と言います。
たぶん雪まみれの私の姿を哀れに思ったのでしょう。もちろん願ってもないことでしたのでお礼を言って運転席に乗り込みました。中はヒーターががんがん効いてポカポカでした。オイルのにおいが漂います。横浜から写真を撮りに来たと言うと物好きだなぁみたいなことを話されたような記憶があります。鉄板の床から直接伝わってくるエンジンの振動が妙に心地よく感じられました。
5分か10分か、雑談しているうちに線路の向こうからライトの光が見えてきました。再度お礼を言ってホームに降りました。ちょっと貴重な体験でした。
北海道ちほく高原鉄道 上利別 2004年2月
Nikon F5, AF 28-70mm F2.8D, RVP F