デジイチを買ってからブログの撮り下ろし写真はデジタルが中心になりました。とはいえ旧作のポジフィルムも大量にあるのでデジタル化して公開しています。現在はニコンのフィルムスキャナーLS-4000EDを使っていますが、最近調子が悪く電源スイッチをONにしても初期化に失敗してパソコンから認識しないことがあります。
先日はD3にTAMRONの90mmマクロレンズを取り付けて三脚に固定し、ポジフィルムをライトボックスにおいて等倍のマクロ撮影をしてなんとか対応していました。結果にはそこそこ満足していたものの、このやり方ではフィルムとカメラの並行を出すとかフィルムの位置の微調整がとても面倒で、セッティングに難儀していました。
フィルムスキャナーは既に大手メーカーは製造しておらず、もし入手しようとしても中古品しかありません。たまにオークションに出てもニコンのCOOLSCANは高騰していて手が出ません。となるとPlustekのフィルムスキャナーを使うか、エプソンかキヤノンのフラットベッドスキャナーを使うことになります。価格的には比較的手の届きやすいものですが、もうひとつ踏み切れません。
そこで思いついたのが接写用のベローズユニット。ところがニコンが最近まで出していたPB-6というベローズも最近生産終了してしまいこれも中古品しか入手できません。先日銀座を歩く機会がありたまたま中古のカメラ屋さんを覗いたらとても程度の良いPB-4がありました。これはニコンの歴代のベローズの中でも唯一レンズのシフトやティルトができるという代物で、人気のある機種です。おまけにスライドアダプタPS-5も付いています。
なにせ年代物なので程度が心配でしたが、外観はとてもきれいでサビなどはなく各部の動きや蛇腹の部分も問題ありません。もう出会う機会もないだろうと考え購入に踏み切りました。
D3のような大型のボディはそのままではベローズの下部に接触してしまい取り付けできません。ざっと測ってみたところ14mmくらいすき間を空ける必要があります。ちょうどニコンからは接写リングPK-12(厚み14mm)があり、これを間に入れてみるとギリギリで取り付きました。しかしボディはバッテリー部分が干渉するので前に動かすことが出来ず、50mmレンズでは等倍撮影の位置にできません。TAMRONの90mmマクロレンズを取り付けると問題なく撮影できることがわかりました。
さすがに接写専用に作られたものなので微調整はとても楽で、セッティングを決めてしまえばスキャン(というか撮影)は瞬時に完了します。これが実際に撮影しているときのセッティング。
こうして実際にD3で撮影したものがこの写真です。
同じポジをLS-4000EDでスキャンしたもの。解像度はD3に合わせてだいたい3000dpiにしています。
階調の出方や発色は異なりますがもう少し調整すれば追い込めると思います。解像度的にはこのサイズの画像では区別がつきません。そこでD51の先頭部分を拡大して比較してみたものが次の画像です。非圧縮のTIFFはファイルサイズが大きいのでJPEGの最高画質で保存してます。100%サイズで見ていただければドット等倍になります。(クリックすると画像が表示されます)上の写真と位置関係が逆になっています。
これなら十分フィルムスキャナーの代わりに使えそうなレベルだと思います。でもフィルムスキャナーにはまだ優位な点があります。ゴミやホコリの除去が出来るということです。LS-4000EDでは赤外線を使ってゴミやホコリの映り込みを自動的に取り除いてくれますが、D3ではそのまま写ってしまうので画像処理ソフトを使って修正してやる必要があります。ホコリが多いとこれが結構な手間になります。
あとはフィルムの後ろから当てる光源をよく選ばないとホワイトバランスを合わせるのに苦労することと、6コマずつカットされたスリーブでは一番端っこのコマを撮影しようとするとフィルム自体の重みでコマが傾いてしまうことが注意点です。PS-5には本来長尺フィルムの用の受け皿が付いているのですがこの中古品にはついていませんでした。取り付け用のねじ穴はあるので受け台を自作してみようかと思います。
総合的に見てスキャナとデジカメ接写のどちらが楽かと言われればちょっと微妙なところかもしれません(笑)それでも30年以上昔の製品に現代のデジカメがちゃんと取り付けられて使えるというのは、頑なにマウントを変えてこなかったニコンならではでちょっと愉快です。このベローズにフランジバックの長いレンズを取り付けると逆ティルトしてミニチュア写真も撮れるようなので中古のレンズを探してみようと思います。